KAWSとは?

KAWS(カウズ 本名:ブライアン・ドネリー)はアメリカのニュージャージー州出身、ブルックリンを拠点に活動するグラフィティ・アーティスト。「KAWS」という名はグラフィティアートによく用いられる自分の名前を意味する「タグ」を描く行為(タギング)で使用していたもの。アーティスト活動を始めた当初はタギングを主に行なっていたが、1990年代にニューヨークのビルボード広告や公衆電話ボックスの広告に独自のアートを加えて意味を改変する「Subvertising(サブバータイジング)」というスタイルのストリートアートで有名になる。ペインティング、ドローイング、彫像だけでなくプロダクトデザインまで手がける。

KAWS(Brian Donnelly)

ビビットな色使いとポップなキャラクターの目に「××」マークを施した作風が特徴で、様々な既存のアニメキャラクターをモチーフにした作品も多数存在し、どれも落ち込んでいるように俯いていたり、泣いているように手で顔を覆っていたりとシニカルな印象を受ける作品が多い。

また、「Dior(ディオール)」「Supreme(シュプリーム)」「Nike(ナイキ)の」「A BATHING APE®(ア・ベイシング・エイプ)」などのアパレルブランドとのコラボや、「Kanye West(カニエ・ウェスト)」などのミュージシャンのカバーアートの実施までその活動範囲は多岐にわたる。

KAWSは日本でも大人気

KAWSは日本でも非常に人気が高い。KAWSとユニクロのコラボレーションでセサミストリートのキャラクターをモチーフにした作品がデザインされたTシャツが販売されたことで日本でのKAWSの知名度が高くなり、また「KAWS×PEANUTS」のトリプルコラボレーション企画ではスヌーピーのぬいぐるみが大人気で品薄状態が続いた。

UNIQLO「 KAWS×PEANUTS」ぬいぐるみ 

また、KAWSは日本と関わりが深く、過去には日本でも作品を制作している。彼の代表的なキャラクターである「コンパニオン」が世界中を旅するというコンセプトで、世界各地で巨大な立体作品を制作する《KAWS :HOLIDAY》というプロジェクトを実施した際、日本では2019年に富士山の麓に全長40メートルもの巨大コンパニオンの彫刻を制作した。日本の象徴でもある富士山に劣らぬ存在感で悠々と気持ちよさそうに寝そべる巨大なコンパニオンが印象的だ。この作品のキックオフイベントにはKAWS本人はもちろん国内外の著名人が参加するなど大変な注目を集めた。

KAWSはなぜ人気なのか

・人気キャラクターをモチーフとして起用

KAWSはシンプソンズ、セサミストリートやミシュランマンなど世界的な人気キャラクターをモチーフにした作品を制作する。彼は1996年までフリーランスのアニメーターとしてディズニーのスタジオで働いていたこともあり、そこでアニメキャラクターを著作権ギリギリのラインで描く技術を身につけたという。KAWSの代名詞とも言えるバツ印を施された人気キャラクターは、例えKAWSのことを知らない人でも親近感を覚えるだろう。


・ファッション界に人気

KAWSはアパレルブランドとも多数コラボレーションしていることから、ファッションに興味のある若い世代からも人気が高い。KAWS自身も「オリジナルフェイク」というファッションブランドを立ち上げ、おもちゃやファッションアイテムの制作を行なったほどだ(2013年5月にクローズ)。こうした業界の垣根を越えたコラボレーションはアーティストの知名度を上げることにも役立ち、戦略的なコラボレーションがKAWSの人気を上げる理由とも考えられる。